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本田圭佑 10年前

「手応えあり」。巧みな連携にピッチで根拠を得た本田。“決定的な存在”への最終課題とは――

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

「一週間の練習でいい準備ができた」

 翻弄されたドミッツィは、本田に付こうとするあまり担当する左のサイドを開けてしまう。こうなったらしめたもの。右SBのボネーラや“ニセ9番”に配置されたメネズがこのエリアに流れ、彼らを使ってチャンスを作り、このサイドを崩して見せた。

 42分にはメネズが、43分にはボネーラが、中へ絞る本田めがけて立て続けにクロスを放ったが、こうしたお膳立てがあって生まれたチャンスだ。

 ボールを持っていない時の動きを磨き、また周囲との連係を強化した上で、相手の“本田対策”を無力化。

 その秘訣について彼は、「一週間の練習でいい準備ができたこと」と語った。選手間の距離やサポートへの走り、またパスの精度やタイミングなどは、チームの練習を通して見直されたものだったのだ。

 ミラノダービー後、インザーギ監督は記者会見でこう語っていた。

「メネズなどがそうだったのだが、余計なタッチを増やして一人で行きすぎ、チャンスを壊したシーンも多かった。そこは修正点だ」

 指揮官はその通りに練習メニューを組み、チームの強化を図ったのである。そしてウディネーゼ戦では、その通りになった。メネズから本田へ、というパス交換も見違えるように増えていたのだ。

 インザーギは監督としては若いが、練習を重んじてチームを導く真摯な指導者である。そのもとでチームは確かに向上し、本田のさらなる成長にもつながっているのだ。努力が形になるということは、何より自信を与える。

「手応えはあった。ノーゴールだったが、チャンスすら作れなかった最近の数試合とは違う」と本田は語っていたが、これは単なるポジティブシンキングではなく、ピッチで根拠を得たからこその一言だ。

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