ロッカーの雰囲気を引き締める明神
まったり感でチームメイトをリラックスさせるのが遠藤ならば、チームをピリッと引き締めるのがチーム最年長の明神智和である。
3対1で勝利した神戸戦は、藤春廣輝の負傷によって90分に三枚目のカードを切った長谷川監督だが、本来は二つの交代枠で試合をクローズする予定だった。
ベンチ裏でアップをしていた4人の選手たちはもはや勝利を確信して、仲間たちの戦いを熱く見守り続けていたが、そんな4人を尻目にひたすら短いダッシュを何度も繰り返し、恐らく来ないであろう出番に向けて臨戦態勢を取り続けていたのが36歳の明神だった。
「三冠の中から一つだけ選べと言われるなら、取りたいのはリーグ戦」(明神)
2006年にガンバ大阪に移籍し、様々なタイトルに貢献してきた鉄人ボランチのキャリアで唯一欠けているのがリーグ王者の肩書きだ。今季リーグ戦の出番は12試合で、先発はわずか3試合。定位置は譲り渡した恰好だが、それでも指揮官はこのチーム最年長に絶大な信頼を置く。
「アップから帰ってきた試合前のロッカールームでミョウ(明神)が『さあ、行くぞ』と掛け声をしてくれるだけでロッカーの雰囲気はガラッと変わって来る。彼の存在は非常に大きいと思っている」(長谷川監督)
指揮官はこれまでどおり、熱心に相手チームを分析し、遠藤はマッタリとした独特の空気感を作り出し、そして明神は徳島の地でも「さあ、行くぞ」と叫ぶのだろう――。
首位になっても大阪の雄のルーティンに変化なし。力関係や両者の立ち位置が必ずしもスコアに反映しないサッカーではあるが、少なくとも今の大阪の雄には油断や慢心が生まれる気配は一切、ない。
【了】
フットボールチャンネルfacebookはこちら→
フットボールチャンネルTwitterはこちら→