独特の空気で気負いや緊張から解放する遠藤
降格圏内に喘いでいたリーグ戦中断前にも動揺する姿は見られなかったが、ナビスコカップを獲得したり、神戸戦後に首位浮上を果たしたりしてもチームが一喜一憂しないのは、冷静沈着を地でいくこの男がキャプテンを務めているからだろう。
神戸戦を終えた翌日、遠藤保仁は言った。
「自力での優勝が出て来たので、その状況だけが違う。心境は特に変わらない」
決してマスコミ向けにクールを装っているわけではない。「一戦一戦目の前の試合を戦うだけ」と夏場から常に言い続けてきた遠藤。神戸戦を終え、ベンチから飛び出してきた宇佐美貴史によって首位浮上を知った遠藤だが、実は順位以外の数字にはあまり関心を持っていなかったという。
「次勝ったら決まりやな。得失点差いくつだっけ」(遠藤)
「7あると思います」(丹羽大輝)
ピッチ内では自らのプレーで絶大な影響力を発揮する背番号7だが「今週も特別なことをいうつもりはない。モチベーションは勝手に上がって行く」
泰然自若のキャプテンが発する独特の空気感によって、チームには過度の気負いや緊張から開放されるのだ。
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