「真のリーダーたるには、赤と黒のユニフォームに袖を通す本当の意味を知っていなければならない」
――再びチーム全体のことに話を戻せば、調子が良くなったとはいえ、なおもユベントスやローマとはチーム全体にみる「質」で大きな差がある。両者にミランが追い付くためには何が必要なのだろうか?
「まずは来年1月の補強。だが、言うまでもなく、それだけでは本質的な問題の解決にはならない。そして本質的な問題とは、つい今しがた『真のリーダー不在』に触れたように、このクラブの核となる選手たちが今は余りにも少ないという事実だ。
つまり、今この時期だからこそミランは下部組織から可能な限り多くの若手たちを引き上げては『(セリエ)A』のピッチに送り込まなければならない。ミランで真のリーダーたるには、このクラブの赤と黒のユニフォームに袖を通す本当の意味を知っていなければならないからだ。
それこそ幼少の頃からこのクラブのビバイオ(下部組織、の意)で鍛えられ、熾烈な競争に勝つことでひとつずつカテゴリーを上ってきた者でなければその真の意味は理解できない。もちろん時間が必要なことはわかる。長きに渡って言われ続けてきたことだが、才能豊かない若手が育っている今こそ、やはり(クラブ上層部は)勇気を持たなければならない。
大事なことは、“勝てない時代”をそのクラブで生きることだ。かつてのあのアリゴ・サッキのミランを人は“オランダトリオ”として記憶するが、その実、当時のミランを支えていたのは他ならぬフランコ(・バレージ)ら、まさにミランの下部組織で鍛えられ、“勝てない時代”をミランで生きた者たちだ。
すぐに勝てない(タイトルを獲れない)のであれば、将来へ向けたチーム作りに力を注がなければならない」
――どれほどの時間が欧州(CL)に戻るためには必要なのか。そして、その欧州を再びミランが制すには一体どれだけの時間が必要とされるのだろうか。
「欧州(CL)に戻ることならば来季からでも可能だ。シーズンはまだ序盤、この今に見る結束を崩すことなく、むしろそれをより強固にしていければ、そして件の“攻撃の手法”が今よりも洗練されていけば、今季の最後に(CL)出場権を得ることは十分に可能だ。
だが、問題は“その後”に何を目指すのか。単に欧州へ戻ることが目的なのか。またはその欧州で勝つ、あるいは主役としてCLを戦うレベルに達することが目的なのか。言うまでもなく、両者の間には雲泥の差がある。
確かなのは、今日現在のミランでは後者たり得ないということ。CLで主役を演じるにはまだまだ多くの解決すべき点を抱えている。短くはない時間が必要なのだろう」
【了】
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