「本田は昨季から模範的だ。しかし、真のリーダーたり得るとは思わない」
――要するに、とりわけ重要なポイントは……
「そう、『最もその才能をムリなく発揮できる場所を与えてくれる監督の下でプレーする』。このくだりだ。今季これまでの状況がその私の言葉をこれ以上ない形で裏付けていると思うのだが。
さらに言えば、数年前のミランに名を連ねることができないのは何も本田に限ったことではない。現メンバーのすべてがそうだ。しかしこれは決して彼らに対する侮辱ではない。かつてのミラン、まさに“そこ”で実際に長くプレーした者だからこそ、当時のメンバーたちの実力を私は知り抜いている。
しばらく前までのミランファンは、それこそ超一流の集団を見ることに慣れていた。だが今はそうではない。時代は大きく変わったということだ」
――ところが残念なことに、例の本田6ゴールの直後の日本では、その他ならぬマルディーニが前言(今年3月の発言)を翻したとされている。先の10月19日時点で『ミランで最も模範的な選手。真のリーダーになる素質がある』、こう発言したとされ、一部にはそれを根拠なく揶揄する向きもある。
「ノー。そんなことは言っていない。彼のプロとしての姿勢、誰よりも真剣にトレーニングする姿は“模範的”であると思うが、しかしそれは不振を極めていた昨季も同じだったはず。彼は常に誰よりも真剣にトレーニングを重ねていたと聞いている。そして私は、そうした彼のプロフェッショナルとしての姿勢を疑ったことなど一度としてない。
しかし、かといってその彼が真のリーダーたり得るとは思わない。なぜなら、まさにこれこそが今日のミランが抱える最大の問題、そのひとつだと捉えているからだ。現ミランには、まさにチームを牽引する真のリーダーが欠けている」