「本田は“怪物”ではない。しかし、“いい選手”ではある」
――そして、今季のミランに見る変化といえば、他ならぬ10番・本田。6ゴール以降はやや調子を落とした感があるとはいえ、昨季とは比較にならないほど良くなっている。
「正確にはその中身を記憶してはいないのだが、確か前回(今年3月)に君と話した際に言ったはずだ。そして、その際に期待した状況が今の彼を取り巻いていると言えるのではないか」
――前回、先の3月21日、君はこう言っていた。『(本田がミランで活躍するためには)当然のことながら周りのサポートを欠くわけにはいかない。(中略:https://www.footballchannel.jp/2014/05/01/post38706/2/参照)その上で、つまり彼がイタリアのサッカーに慣れていく中で、徐々に信頼を勝ち得ていくことができれば、本人が望む場所(ポジション)でプレーすることが可能になるのではないか』
「その通り。彼は“フェノーメノ(怪物、の意。かつてのロナウドの渾名・代名詞とされた)”ではない。しかし、“ブオン・ジョカトーレ(いい選手)”ではある。そして今季の彼は、文字通り“いい選手”であることを証明している。昨季に抱えていた数ある問題を解決した証なのだろう。決して軽くはない病を抱えていたとも聞いている。
もちろん言葉の問題も軽視できない。そして周囲の信頼を必要としていた。“確かなチーム戦術”と、その中における“確かなポジション(役割)”もまた必要としていた。だから私は、先の3月に君から受けた取材ではこんな風にも述べていたはずだ。
『今の彼に最も大切なのは時間だ』と」
――事実、同じく先の3月に君はこうも述べている。『今現在の本田を評する上で最も留意しなければならないのは、他ならぬミランというクラブ内部が過去30年で最悪とされる混乱に苛まれているという点だ』
「そう。だが、まさにそのクラブ内部がピッポの就任を機に大きく変化した。要するに、今季は指揮者が代わり、奏でる楽曲も変化したということだね(笑)」