「彼(タソッティ助監督)こそがミランの屋台骨だ」
――つまり、今季のチームが変わったのは、ほぼそのすべてが監督インザーギの手腕によると?
「もちろんすべてではない。だが、かなりの部分が他ならぬピッポの監督就任に起因していると私は見ている。
確かに今の彼はまだ経験の浅い監督でしかないのだが、それでも(ミランの)下部組織を率いた2年で既に周囲を唸らせるだけの手腕を発揮していた。そしてこの新監督は、まさに現役当時のあの稀有な臭覚さながらに今のミランに何が最も欠けているかを瞬時に“嗅ぎ分けて”みせた。正しくは見極めたと言うべきなんだが(笑)。
それはもちろん、先ほど述べたことと同じ。“超一流の集団ではないチームが勝つ方法はひとつ”。他でもない、“闘う集団”へとその姿を変えてみせる以外にない。だからこそ彼は就任以来そのために必要なチーム作りに努めてきた。
その上で、私の大切な友である“タッソ(マウロ・タソッティ=助監督)”の存在なくしてピッポのその仕事を円滑に前へ進めていくことはできなかったと、(昨季はそのタソッティを排除しようとする動きさえあったからこそ)そう敢えてこの場で強調しておきたい。
彼の存在意義、その存在価値は決して数量化などできない。計り知れないことをミランに籍を置いた者であれば誰もが知っている。彼こそがミランの屋台骨だ。特に負けた時にこそマウロの価値が際立つ。
事実、難しい局面で、負けが込んだ状況下で、過去に多くの監督たちがマウロに“助けを求める”場面を私は何度も目にしてきた。もちろんピッポにとってもそうなる。試合中、マウロの一言がいかに重要か。戦況を読む彼の目はまさに超のつく一流の域にある」
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