「上層部のわがまま」「代表戦の疲れ」…。周囲の犠牲に
何より、本人にとってはここまで11試合連続で先発し、ここ最近は結果が出ていなかったものの、チーム最多の6得点を挙げて下馬評の低かったミランを牽引してきただけに我々第三者には想像できないほどの悔しさを抱えていたはず。
むしろ、この試合を「歴史的一戦」と言われることすらも悔しさが溢れてくるものかもしれない。
ベンチスタートとなった理由には、ベルルスコーニとトーレスの問題以外にも「代表戦の疲れ」を挙げられているが、これはインザーギ監督と日本代表のマネジメント次第でクリアできた問題だ。
このタイミングでダービーが行われるのは開幕前から分かっていたことであり、ミッドウィーク開催となった10月末や代表戦前に休養を与えることも出来たはず。
また、日本代表にしても6得点を奪ったホンジュラス戦にフル出場させる必要性は無く、アジア杯前最後とはいえオーストラリア戦もあくまで親善試合。マーケティングや監督の体面以上に選手のキャリアを考えるならばどちらか一方は休ませる選択肢を取っても良かったはずだ。
さらに、W杯後の6試合中5試合をホームで戦う国など日本以外にはあまりないだろう。オーストラリアに関してはW杯後の全戦をアウェイで戦っている。
ミラノダービーに2選手が出場するなど、5年前では考えられないほどに選手は大きな成長を遂げてきたが、イタリアと日本の往復による苦悩は15年前から全く改善されない問題のままだ。
本田は、試合後に自らのパフォーマンスが振るわないこともベンチスタートの理由に加えていたが、現状で本田以上のパフォーマンスを見せている選手などミランにはいない。主力の離脱による戦術変更だとしても納得出来るほどのものではない。
本田は、背番号10のチームトップスコアラーでありながら、周囲の能力不足によって1年で最も重要な一戦をベンチから迎えることとなってしまった。
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