バランサーとしての貢献が求められる長友
一方、対するインテルの長友は、マンチーニ監督に監督が変わった最初の試合で先発起用が濃厚と見られている。否、こちらはマンチーニ監督も「間違いなくプレイすることになる。ダービーで幸運をもたらす選手でもあることだし」とスタメン起用を明言している。
マッツァーリ前監督が敷いてきた3バックから、ビディッチを削って4バックに最終ラインを変更。ラノッキア、ファン・ジェズスがCBを務め、長友は右ではあるが“本職”のSBに戻ることになる。
重要なのは、左サイドにはドドが下がってくるということだ。今のインテルにはサイドハーフ、ウイングが不在なので、サイドアタックは彼と長友のオーバーラップに頼る部分が多くなるはずである。
ただ、この試合からCBは2枚。SBが絞ってフォローしなければ支えられない場面も増えてくるが、ドドは攻撃寄りの選手だ。
インテル時代は攻撃的なマイコンを好き放題攻めさせていたマンチーニだが、その分バランスをとらせる役割は左SBに命じていた。今回は長友がそれを務めることになる。
「やはりDFなので、まずは担当するエリアのカバー。攻撃も当然大事だが、正しい判断の下で行わなければならない」と指揮官は注文もつけていた。
新監督のもとで長友が今後信頼を確固たるものにできるかどうかは、長友がバランサーとして機能できるかどうかにあるのだろう。
サイドで選手の誰よりもベンチに近い位置で小言を聞かされるからか、「自分の前でプレイするからラッキーでもあるだろう」ともマンチーニは語っていた。監督の注文に応えられるかどうかに注目である。
対面はエル・シャラウィ。2年前のダービーでは彼へのマークに引きずられすぎてサイドを開けてしまったことがあったが、今回はきっちりと抑えたい。そうしてミランの攻撃が硬直し、本田投入へとつながれば、日本人的にはおいしい展開となるのだが…。
レベル低下を嘆く声はあるが、ミラノダービーは重要な試合であることに変わりはない。本田、長友にはそれぞれ、互いのチームに貢献する質の高いパフォーマンスを期待したい。
【了】