前線からのプレスがチームを助ける
11月22日、14時。埼玉スタジアム2002では浦和レッズとガンバ大阪の直接対決が行われた。8年ぶりの優勝を願う浦和サポーターによるコレオグラフィがスタジアムを彩った。
同時刻、カシマスタジアムでは鹿島アントラーズが川崎フロンターレを迎えた。3位の鹿島にとって、優勝の可能性は決して高くはない。しかし、全くのノーチャンスでないことも確かだ。それは、奇跡の逆転優勝を成し遂げたことのある彼らが最も良く理解している。
勝利を掴むため、この日も真紅のホームチームは序盤からフルパワーで臨んだ。
3週間ぶりのリーグ戦だったが試合の入りは問題なく、最終ラインから丁寧にビルドアップしてくる川崎Fに猛烈なプレスをかける。急先鋒となったのが、赤崎秀平と土居聖真だ。
彼らが追い込むことで相手の選択肢を減らし、パスを出させるとそこには鹿島の選手が狙い澄ましたようにアプローチをかける。川崎Fの攻撃を遅らせたのはもちろん、インターセプトからの速攻も見られた。
前線のプレスに連動することで後方の選手も的を絞ることができる。
遠藤康は「聖真と秀平が前で追いかけてくれたおかげで、自分の行くところがわかりやすかった」と2人を称えた。
そして、この日の鹿島は最終ラインの位置も高く保つことができた。前線の頑張りに応えるように、守備陣も勇気を持って押し上げた。そうすることで全体のラインがコンパクトになり、相手のパスワークを消すことに成功した。
「あまり嘉人さんに効果的なパスは入っていなかったですし、僕たちの組織が今日はすごく良かった」と昌子源は手応えを口にした。
川崎Fは最前線の森島康仁をシンプルに狙ったが、この日の鹿島は冷静に対応した。相手に蹴るしかないという選択をさせたことが大きかった。
前線からのプレスが効いたことで、意図的に森島を狙わせる状況を作り出した。昌子が説明する。
「僕たちからしたら森島くんのキープ力に対抗して、起点を作らせないようなディフェンスができた。パスコースを限定してくれた秀平くんや前の選手が僕たちを楽にしてくれた。感謝したいですね」