チーム全体から感じられる優勝への強い意志
首位・浦和レッズと2位・ガンバ大阪の直接対決。浦和が勝てば8年ぶりとなるJリーグ優勝が決定する。この大一番で激突するガンバとは2006年にも優勝を懸けてシビれる試合を演じた。間違いなく今シーズン最大の注目カードだ。
“ミシャ”ことミハイロ・ペトロヴィッチ監督体制となって3年目。王座奪還へ機は熟したといったところか。
浦和の成熟度は、やはり守備面でより顕著に見られる。得点力は昨シーズンも高く、得点パターンも多彩だった。ビルドアップから前線の3人や高い位置をとるウィングバックが絡むことで、相手に的を絞らせない攻めができていた。
一方で失点数も決して少なくなかった。特に勝負どころの脆さは気になる部分だった。昨シーズンも終盤まで優勝を狙える位置にいながらラスト4試合で15失点を喫している。これでは勝利は遠く、1分3敗と大きく負け越した。
それが今シーズンは、32節で優勝を自らの手で決められる立場にある。それは攻撃力を維持しつつ、守備にもしっかり目を向けた結果だろう。
また、これまで以上に勝利を渇望する姿勢が感じられ、チーム全体が優勝を手繰り寄せようと必死に戦っている印象だ。
象徴的なのが前節の横浜F・マリノス戦。79分、キャプテン・阿部勇樹のシュートをGKが弾くと、詰めていた関根貴大が右足で蹴り込み、値千金の決勝点を奪った。
関根は今季プロデビューを果たしたルーキーで、デビュー戦はあの無観客試合だった。彼も優勝を目指す浦和の一員だ。若いから、経験が少ないからというのは関係ない。ピッチに立ったら必ず結果を出してやる。そうした強い気持ちがあったからこそ優勝へ王手をかける一発を決めることができた。
彼のような若手がヒーローになる。優勝するチームにはこうした存在が欠かせない。