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ジュニサカ 10年前

社会が狂わす“現代の子ども”をサッカーで変えるためにできること

text by 鈴木康浩 photo by junior soccer editorial staff

本能的にボールを奪う意識が欠けている

 この数ヶ月、そんな思いに掻き立てられながらジュニアサッカーの現場を歩いてきたが、前出の松本さんのように20年以上の指導キャリアを誇る指導者たちの間で、シンプルではあるが大事だと考えられている指導のポイントが見事に一致しているので紹介したい。それは次のようなものだ。

『ボールを奪われた瞬間にすぐに奪い返させる』

 なんだ、そんなことか、と思われるかもしれないが、日本のU12世代がこの点を徹底できているかといえば答えはノーだ。いやU12世代に限らず、その上の世代も、プロも、なのだが。

「俺のボールを奪うんじゃねえ!」

 欧州や南米の子どもたちは血気盛んにボールにいく。それはサッカーをする者としての本能のようなもの。サッカーをプレーする以上はそれが当たり前。

 ところが日本では、ボールを奪われたときに、あー、と天を仰いでプレーを止めてしまう子どもが数多くいる。うまいと言われる子どもほどボールを奪われたあとにろくすっぽ守備をしないから、指導者は頭を抱えるはめになる。

 ボールを奪われた子どもがすぐさま激しくボールを奪い返そうとする。その感覚が当たり前になれば、ピッチ上のプレーの激しさや強度は増すだろう。ボールを奪われた子どもがすぐにボールホルダーを潰せれば、相手の攻撃の芽を摘み取ることができるし、自ずと球際の攻防に迫力が出てくる。

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