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代表 10年前

有終の美を飾った2014年。スペインを下したドイツ、戴冠の後の混迷を抜け出す“原型”は「3バック」

text by 本田千尋 photo by Getty Images

敵地で勝利を掴み取った「3バック」

 W杯で果敢に戦ったラーム、メルテザッカー、クローゼといった、これまでチームの核を成した功労者の引退、新たに主将に就いたシュバインシュタイガーを負傷で欠いたままの船出、世界王者に対する相手の対抗心、そして世界王者であるが故に受ける周囲からの厳しいプレッシャー…いくつもの要因が重くのしかかった。ドイツ代表は、戴冠の後の混迷の中にあった。

 そしてゴールラッシュが期待されたグループD最下位のジブラルタル代表をニュルンベルクに迎えた第4戦だったが、4-0という結果に終わる。キッカー紙がスペイン戦に向けて「希望をほとんど与えない」としたように、相手次第では快勝となるスコアにも、メディアは全く満足しなかった。

 一方で、ジブラルタル代表戦、そしてスペイン代表戦の2連戦の中で、ドイツ代表にちょっとした戦術的変更が見て取れた。3バックである。

 ジブラルタル代表戦でボアテンクを中心に、左にドゥルム、右にムスタフィという3バックを敷いたレーブは、続いてスペイン代表戦ではムスタフィを中心として、左がヘーヴェデス、右がルディガーと同じく3バックで試合に臨んでいる。

 主に守備時には5-4-1、攻撃時には3-4-3、といったところだ。試行間もないため、盤石の布陣とは言い難かったが、それでもスペイン代表を相手に敵地で勝利を掴み取った。要するに冒頭のレーブのコメントの中にある「来年に向けての良い原型」とは、「3バック」のことだろう。

 キッカー紙でレーブは続ける。

「1月、2月には既に、我々は再び代表チームと選手達を取り扱う課題を抱えている。コーチ陣とともに取り組んで、新しいアイデアを発展させ、新しい足掛かりを見つけるつもりだよ」

 ドイツ代表は、スペイン代表に対して3バックという「新しいアイデア」とともに勝利を収めたことで、混迷から抜け出そうとしているのだろうか。

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