選手と監督のイメージの共有が求められる
6試合の親善試合では“引いた相手をいかに崩すか”というテーマに直面せず、攻守の切り替わりを効果的に活かしてきたため、未知数の部分が大きい。ザックジャパンの時と同じく本田圭佑や香川真司を起点にしながら、3トップの中央で起用が予想される岡崎慎司の動き出しを使っていきたいが、サイドバックの攻撃参加が重要なアクセントになってくる。
ただ、それは同時にカウンターのリスクがともなうことでもあり、攻撃に厚みをかけていく時に後ろの選手たちがいかに備えるか。アギーレ監督の守備コンセプトの中で、年末年始のキャンプなどで確認していきたいところだ。
自陣でボールを失うリスクをおわないという決まり事はあるが、どういう状況でつなぎ、どういう状況で蹴るのかといった局面の状況判断は「ある程度、自由にやらせてくれる」と長谷部キャプテンが語る通り、選手に任されている部分が大きい。
ただ、オーストラリア戦は前半途中にアギーレ監督の指示で[4-3-3]から[4-2-3-1]に切り替えたように、相手にシステムのギャップを狙われた場合や形が噛み合ない場合の大きな修正などで、監督の果たす役割も重要になる。
後半からは今野泰幸を投入して中盤の強度を強めるなど、オーストラリア戦は親善試合ながら実戦シミュレーションとして有効だった。交替が3枚だったことが公式戦をどれだけ意識したものかは不明だが、システム変更も含め、指揮官の豊富な経験はアジアカップでも活きてくるはず。
様々な状況を想定したテストが済んでいるわけではなく、4年前と同じくアジアカップで初めて試すオプションも出て来るだろうが、そのイメージを監督と選手の間で共有しておきたい。
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