やり過ごすだけでいいのか
35分間、日本はパスをつなげなかったというより、つなぐつもりがなかった。
「プレスされてつなぎにくいときは、遠くへ(相手陣内へ)ボールを持っていく」(アギーレ監督)
自陣でリスクを冒さないのは、アギーレ監督になってからの明確な変化だ。無理につなごうとして決定的なミスをするのは避け、長いパスを前線へ蹴り出す。
「後半はオーストラリアが疲れてきて、日本がパスをつなぐスペースができた」
アギーレ監督は「つまり状況に合わせてプレーできる」と話していた。確かにそれは重要なポイントである。しかしそれでは、もし相手が疲れなければ、前半の悪循環のまま試合が続いていたことになる。今回はたまたま相手がマッチアップを合わされたとたんに手詰まりになってくれたが、いつもそうなるとはかぎらない。
日本はトップ下の香川をはじめ、所属クラブで慣れているポジションでプレーしたことで流れが良くなった。ザッケローニ前監督時代の手慣れた4-2-3-1にもやりやすさがあったに違いない。それも流れを変えた要因である。では、もしフォーメーション変更が逆の場合でも上手くいっただろうか。
相手が4-2-3-1でボールを支配した。日本はリスクを冒さずやり過ごそうとしたが、相手の支配力が高まるばかり。そのとき、今回とは逆に日本は4-1-2-3でマッチアップを合わせるとしよう。果たして今回のように劇的に流れを変えることはできるだろうか。
相手のプレスが強ければ、無理をせずに勢いが収まるまでやり過ごす。それも悪くないのだが、その中でもプレスを外して主導権を引き寄せる力と工夫がないと、耐えるだけの時間帯が長引いてしまう。
もともと4-1-2-3は、マッチアップの浮いているアンカーを生かして、奪ったボールを確保しやすいのがメリットなのだ。今回はそれが上手くできなかったから、フォーメーションを変えるまで流れを変えられなかった。やり過ごせたことを評価するのもいいが、ここは素直に課題ととらえるべきである。
【了】
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