「やはり本番とは程遠いものがどうしてもある」
後半出てきたのも今野、乾貴士、豊田陽平とザックジャパン経験者ばかりで、90年代生まれの選手たちは黙ってピッチを見つめているだけだった。世代交代の遅れは今後の日本サッカー界にとってマイナスに作用しかねないだけに心配である。
「僕らは新しい選手が数人しか変わってなかったり、基本的には似たようなメンバーでやってますけど、その中でも若い選手も何人か試してはいますんで、いい融合が今後の課題かなと思いますね」と本田もそのあたりは不安視している部分があるようだ。
オシムジャパン時代の2007年に初めて代表に招集された時、彼自身はまだ21歳だった。試合出場は22歳になった2008年6月のバーレーン戦まで待たなければならなかったが、当時は長友佑都や香川真司、内田篤人など20歳前後の若い世代が次々と台頭しつつあった。そう考えると、現時点での若手の追い上げはまだまだ不十分と言っていい。
加えて言えば、今回のオーストラリア戦に勝ったからといって、アジアカップ本番で彼らに勝利できる保証はない。練習試合と勝負のかかった真剣勝負の違いを、彼はブラジル大会などで嫌というほど痛感させられているから、その厳しさをよく分かっている。
「やっぱり練習試合だけじゃ見えないことも多い。できるだけ本番に想定してやるのが練習試合なんですけど、それでもやはり本番とは程遠いものがどうしてもある。練習試合だとみんな『点を取りたい』というオーラが前線で漂うけど、本番はそうはいかない。
取る選手が取るって言うのが本番なんで、そのくらい緊張感を持ちながら試合に臨めればいいんですけど、やはり生き残りのアピールの場だから、前線の選手はみんなが点取りたいと思う。出すべきコンビネーションも出し損ねてるケースっていうのは、やってて感じますね」と親善試合の問題点を本田は指摘した。