(5)「現在」
バロテッリは、イタリア代表合宿から離脱した。当初は足のつけ根の負傷とされていたものの、一部ではベンチスタートを嫌っての“逃亡”であると推測されている。
この物語からは、さらに多くのゴシップも生まれてくるだろう。
いずれにせよ、ある意味では不可解でもあるが、突然のようにアントニオ・コンテの代表チームに招集されたことは、バロテッリにまたしても巡ってきた新たなチャンスだった。
代表監督の給料の半分以上が、バロテッリのスポンサーでもあるプーマ社から支払われていることが彼の招集に繋がったと考えている者は多いし、実際にそう言ったり書いたりしている者もいる。
仮にそれが事実であったとしても、マリオの人気がいまだ山をも動かすものであることの証明だとも言える。しかし、疑問を抱くべき点はマリオの人気ではない。『タイム』誌の表紙でも裏付けられたように、その人気はもはや生涯保証されたものだ。
本当に疑問を抱くべき対象はマリオ自身だ。素質に疑いの余地はなく、プロサッカー選手としての濃密なキャリアを通して非常に大きな可能性が与えられたにも関わらず、成長できていないことに対してだ。
【了】