(1)「マリオ・バロテッリの10年」
マリオ・バロテッリはまだ24歳だが、はるか昔からサッカーの世界に存在しているかのようだ。彼の極端な言動やゴールやツイートは、もう10年近くにわたってメディアのページを賑わせてきた。
残念ながら、彼に対する評価の大半は表面的にのみ知られた事実に基づいている。主にイタリアとイギリスのメディアが喧伝し、世界中で愚かしくも模倣されてきた報道内容だ。
バロテッリが「困難な少年時代を過ごし」、「いつも適応に問題を抱えてきた」という記事はたびたび目に付く。これらは事実ではあるとしても、アフリカにルーツを持ち「イタリア人になること」に苦心してきた一人の青年の諸問題が深く掘り下げられたことはほとんどなかった。
それをやってしまえば、メディア好みの奇人というイメージから興味を失わせてしまうような正当化が成されてしまうかのようだ。
これはジャーナリズム的にも、そして単純に人間的な面からも、全くの誤りでしかない。
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