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長友佑都 10年前

インテル、急転直下の監督解任劇。マンチーニ復帰で長友の起用法は? 右SBで守備のバランス求められる

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

ファンからの支持を得られず。モラッティの圧力も

 しかしインドネシア人の実業家が判断材料にしたのは、決して“数字”ではあるまい。一つは、マッツァーリ監督とファンとの仲が決定的に悪くなっていたこと。3バックを「プロビンチャの戦術」と馬鹿にしていた彼らは、勝てば勝ったで内容を見て叩いた。数年前のように、一人で試合を決められるような絶対的な“個”はいないという事実を忘れてだ。

 確かに最近の試合内容を見れば、うまくいっていないのは否定しようがなかった。昨季まではスペースに選手が走り込み、そこにパスがオートマチックに回るという連係ができていたのだが、今季はそれが見る影もない。

 センターラインを務めるのはセリエA1年目のビディッチやメデル、まだまだ若いコバチッチだから時間がかかる部分もあるのだが、結果が出なければすぐに非難されるのはこの世界の常だ。

 そんな状況に対し、記者会見で批判に反論する監督の態度が裏目に出た。

「けが人が多かった」「雨が降って本来のサッカーができなかった」と苦戦に理由をつけるが、それは選手やチーム全体を擁護し方向性を保つために行った、レッジーナ時代から変わらない人心掌握術の一つである。

 しかしそれが「言い訳」とメディアでは伝えられ、ファンは一層苛烈なブーイングを送るようになる。あまりのひどさに選手紹介のアナウンスで監督の名前は読み上げられなくなったほどで、試合中はレーザー照射までされるほどの状態になっていた。

 そして始末が悪いことに、このクラブの中枢には良くも悪くもファン感情に振り回される人物がいるのだ。

 トヒルに経営権を譲るも株式をまだ保持していたマッシモ・モラッティ氏は、「マッツァーリを解任しろ」とトヒルに迫り、言うことをきかないと名誉会長から降りるというアピールも行った。

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