後任には「インテリスモ」の宿るマンチーニ
では今季はどうだろうか。6クラブとの対戦の合計は19万6736人だった。この時点ですでに大きな差があることは明白だが、1試合平均にすると3万2793人となり、全体で約5万人、1試合平均9000人の観客がスタジアムを去った計算になる。
このままの状況が続けば、インテルはシーズン終了時にはのべ15万人以上の観客を失うこととなってしまう。これは一大事だ。
当然ながらそれはチケットやクラブのグッズ、売店の食べ物などが売れず、スタジアムは空っぽということだ。インテルというブランドの価値を著しく損なうことにつながり、選手を助けることにもならない。
しかし、マッザーリを解任することは大きな損失を生むことも意味している。インテルはマッザーリとの契約を今季開幕前に2016年6月末まで延長しており、契約途中で解任した場合、彼とそのスタッフに違約金として1100万ユーロ(約16億円)を支払う必要があるのだ。
クラブのブランドとマッザーリ解任による財政的リスク、どちらを取るのか。現実主義を貫くビジネスマンであるエリック・トヒル会長はクラブのブランドを復活させる方がよりよい方法であることを知っていた。この選択によりトヒル会長はマッザーリを解任し、マンチーニを呼び戻すことに決めたのだ。
ではなぜマンチーニを後任に選んだのだろうか。その理由を探ってみよう。第一に、彼は6月にガラタサライの監督を辞めたばかりでフリーの状態だった。
そして、マンチーニはインテルでの4年間で7つのタイトルを獲得した。彼の心には「インテリスモ」が宿っており、インテリスタにとって彼との思い出は良いものばかりなのだ。
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