心配になるユナイテッドの株価推移
マンチェスター・ユナイテッドが、昨季に続き今季も頭を抱えているのは、試合結果だけではない。
株価もまた、ニューヨーク証券取引所で付けた新規公開時の初値14.05ドル(約1100円)以降、伸び悩んでいるのである。
デロイト監査法人がまとめた『フットボール・マネー・リーグ』によると、12/13シーズンのユナイテッドの収益は、欧州チャンピオンズリーグ(CL)では、ベスト16で敗戦したものの、対前年比で7%の伸びを記録。
しかも、来期からは、胸スポンサーがAONからシボレーへ、ゲームシャツ契約がナイキからアディダスになることによって、それだけでも年間1億8,000万ドル(約194億円)という大金を稼ぎ出す。
しかし、そうした実績とは裏腹に、株式を通じたユナイテッドの価値は、あまり芳しくないのである。
表(1)は、株式公開中の主なクラブとその株価である(2014年11月7日終値ベース)。
ユナイテッドがNYSEに2012年8月10日に上場してからの約2年3ヶ月間で、市場全体を表すNYダウ平均は、約30%上昇。しかしユナイテッドの株価は、約13%の上昇にとどまっている。
その企業の株式が、投資対象として魅力があるか否かを判断する基準の1つに、株価を当期純利益で割った株価収益率(PER)がある。
PERの値(倍率)は、低ければ低いほど、その時点での株価が割安だと判断されるため、投資家の関心を引きつける材料にもなり得る。
その時々の相場環境によっても異なるが、14年9月時点でのNYSE上場企業の平均PERは、約17倍で、イタリア証券取引所では35倍。ドイツとロンドンでは約14倍である。
そうしたなか、ラツィオの5.08倍やボルシア・ドルトムントの22.85倍などに比べて、ユナイテッドのPERは、アーセナルの125.14倍と同様、111.89倍と極めて高く、そのことからも、投資家の目には、魅力ある投資先として映っていない可能性がある。