“ハンドル”としての役割も担う内田
「俺が思うに、サイドの隅っこの人間なので、チームにもたらせる影響はそんなに無いと思うんですよ。限界があると思うんですよ。サッカーは中盤が大事ですからね」
合宿3日目の練習後、内田に「現在のチームに何をもたらせると思うか?」と質問したところ、こんな回答が返ってきた。W杯前後に悪化させたと見られる古傷の右膝に不安を抱え、チームドクターと状態を見極める中での難しい心境も見え隠れするが、内田なりのサイドバック観を示す言葉でもある。つまりサイドから大事な中央を支えるということだ。
サイドバックは試合の全てを決められるポジションではない。しかし、現代サッカーではボランチとセンターバックに相手のプレッシャーがかかり、サイドにボールが集まりやすいが、強いチームはそこを狙ってボールを奪いにくる。そこでボールをキープし、次の展開につなげていけるかどうかで局面は大きく変わってくる。
内田はそうしたプレッシャーに動じることなく、相手をいなしながら時にボールを運び、時に中央に折り返すことができる選手の1人だ。しかも、その判断は非常に的確で無理がなく、内田からパスを受けた選手がトラップする際にボールを取られるケースはほとんど見られない。
ザックジャパンでは左の長友佑都が積極的に高い位置を取っていく傾向が強く、センターバックと共にDFラインに残ることの多い内田はサイドのハンドルとしての役割を担ってきた。