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香川真司 10年前

久々勝利、価値ある1勝。香川が語る“ドルトムントらしさ”とラッキーゴール生んだプレッシング

text by 本田千尋 photo by Getty Images

意外な形でのゴール。そのきっかけになったのは…

 そしてその中で香川は、13分には右サイドを突破したオバメヤンへのクロスに合わせて飛び込むなど、ゴールへの高い意識を見せる。また1分過ぎの相手ペナルティエリア前でのベンダーへの落としや、右サイドでピシュチェクからのパスをダイレクトでムヒタリヤンに送るなど、随所で攻撃を繋いでいった。

 前半を終えてのシュート数はドルトムントの15本にボルシアMGは0本と、ゴールこそ奪えなかったものの、ドルトムントのプレッシング・スタイルが功を奏した形で前半を終える。

 そして57分のことだった。ドルトムントが望み続けた先制点が生まれる。香川とオバメヤンのプレスを受けたヤンチュケがパスを送ったクラマーのバックパスが、大きすぎる弧を描いて、ゴールへと吸い込まれていった。クラマーのミスパスで、ドルトムントが先制する。

 少し意外な形にも見えたが、香川が「プレッシングをやった結果がああやってゴールに繋がった」と言うように、ボルシアMGを相手に一貫したドルトムントのスタイルが導いたものだった。

 その意味では、ドルトムントがチームとして奪ったゴールと言って差し支えないだろう。ヤンチュケのパスを受けようとするクラマーにも、ケールが猛然とプレスを仕掛けていた。

 その後もドルトムントは攻め立てながらも追加点こそ奪えなかったが、結局ボルシアMGに思うような攻撃の形を作らせず、貴重な勝利を上げることとなった。順位も降格圏を脱出し、15位となった。

 試合後に香川はさらなるゴールへの意欲や、周囲とのより良いコンビネーションの構築など、幾つか課題を上げたが、そういった課題をこの先追求していく上でも、重要な勝利だったと言えるだろう。

 ジグナル・イドゥナに詰め掛けた80667人の誰もが待ち望み、誰もが喜びをあらわにした、価値のある一勝だった。

【了】

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