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本田圭佑 10年前

あと1歩が踏み込めず。本田、疲労ピークで4戦不発。代表戦、ミラノダービーと続く試練乗り越えるか

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

エル・シャーラウィの得点はチームに大きなプラス

 一方、チームとしては今後に向けてプラスとなる好材料も改善すべき課題も見えた一戦となった。

 前述の通り、この試合ではセンターフォワードにフェルナンド・トーレスではなくメネズを起用。最前線で待ち構える前者と対照的に中盤までボールを受けに下がる“0トップ”タイプの後者が入ったことによって、前線にスペースが生まれた。

 そのため、1点目に象徴されるようなエル・シャーラウィが長い距離をドリブルで持ち込むかうんターアタックが可能となった。

 さらに大きいのは、そのエル・シャーラウィが得点を決めたこと。このカウンターアタックが機能していた序盤こそ、独善的なプレーに走ることなくアシスト役にも回っていたエル・シャーラウィだったが、自らの得点が決まらない状況が続くにつれてバランスを崩す存在となりかけていた。

 とはいえ、昨シーズンは怪我の影響もあって無得点に終わっていただけに、焦るのも当然だろう。そんな状況での約1年半ぶりとなる得点は、再び落ち着きを取り戻してチームに安定感をもたらすことになるはず。

 逆サイドでプレーする本田にとってもエル・シャーラウィとサポートし合う関係性は重要なものとなる。

 インザーギ監督にとっては、トーレスの起用を求めるなど度々現場介入するベルルスコーニ会長に対してある程度の答えは示せた結果となった。最も説得力があるのは勝利することだったが…。

 2失点を喫した守備面では、CKから2点目を献上。ここまで11試合で16失点と決して少なくない失点数を喫しているが、そのうち5点がCKから。「Who Scored.com」がデータを基に設定するチームの弱点にも「セットプレー守備」とあるが、またも繰り返してしまった。今後に向けて、早急に解決しなければならない問題だろう。

 この引き分けによって、今季は4勝5分け2敗で勝ち点17の暫定7位。EL出場圏内の5位に食い込むためには守備の安定と本田ら攻撃陣の活躍は不可欠となる。

 そのためにも、選手がベストなパフォーマンスを維持できるように管理するのも監督の仕事だ。インザーギ監督には、選手のコンディションを見極めて上手く休ませることが求められる。

【了】

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