濡れ手に粟のビジネスを展開するUEFA
そして、このベッカム法の廃止は、今回のフランスサッカー界を揺るがせた最高税率と同様、税負担が増え、「リーグの弱体化を招く要因になりかねない」とスペインサッカー界を騒がせた。
しかし、レアルとバルセロナに限っていうと、現実には、デロイト社が毎年発表しているマネーリーグの収益ランキングでは、09/10シーズンから12/13シーズンまで4季連続でワンツーフィニッシュに輝いているように、元気そのものである。
また、廃止後の10/11シーズンの欧州チャンピオンズリーグではバルセロナがビッグイヤーを掲げ、13/14シーズンのCL決勝は、レアル対アトレティコ・マドリーというスペイン勢対決が実現した。
その背景には、廃止以前に移籍した選手には、移籍後6年間は、選手がチームに残りやすくするよう、所得税率を24%に据え置くとした時限措置が取られたことのほかに、リーグ全体のスペイン人選手比率が85%ということから分かるように、バルセロナを筆頭にカンテラ(下部組織)の成功によるところが大きいと思われる。
勝つためには、選手を育成するのか、大枚をはたいて、手っ取り早く優秀な選手を買ってしまうのか。
13/14シーズンの会計監査でファイナンシャル・フェアプレー(FFP)に抵触したシティやパリSGをはじめ、今や欧州サッカーの代名詞ともなったロシアマネーやオイルマネー。
だが、欧州サッカー連盟も、そうした金満クラブに負けずとも劣らない、濡れ手に粟のビジネスを展開している。
そうしたなか、FFPを推し進め、「(自分が)手がけたことは、最後まで責任を持つ」。そう意欲を燃やすプラティニ会長は今、母国フランスではなく、美しいアルプスの山々と所得税率という恩恵に囲まれたスイスで寝食している。
【12】に続く