外国人選手を優遇したスペインの“ベッカム法”
そうしたことは、ロシア国内のサッカー界にも影響を及ぼした。02年までの10年間でほとんど結果を残せなかったゼニトが、03年のロシア・スーパーリーグカップ優勝を経て、05年からガスプロムが経営権を握ったことにより、外国人選手の補強が強化されるなどした結果、瞬く間に常勝軍団へと生まれ変わったように、スーパーリーグの勢力図も変えていったからだ。
リーガエスパニョーラでも、税制について騒がれたことがある。2004年に誕生した、いわゆる『ベッカム法』を巡ってである。
当時、スペイン首相を務めていたのはホセ・マリア・アスナールで、この法案可決に積極的だった理由として、彼自身がレアルのファンで、すでにレアルの一員となっていたデイビット・ベッカムに加え、レアルが有利な条件で著名な外国人選手を獲得できる機会を増やすためだったとも囁かれた。
ベッカム法とは、外国人の高額所得者(選手を含む)に対しては、スペイン人に適用されている所得税の最高税率である43%ではなく、その約半分の24%とする特別優遇措置のこと。
表(3)は、『銀河系軍団』と呼ばれるレアルが、ボスマン判決以後、今季までに行った大型補強リストである。
このベッカム法が施行中にレアルが獲得した選手は、ほかにもマイケル・オーウェンやアントニオ・カッサーノ、ファビオ・カンナヴァーロなど錚々たる選手が顔を揃える。
また、この表(3)からは、アスナールの思惑の最後の残り香をかぐためなのか、10年に廃止されることが決まった09年には、駆け込み需要なのか、相次ぐ大型補強が行われ、その額は13年と比較しても突出していることがよく分かる。
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