所得税対策として取り入れられた『試合給』と『勝利給』
イングランドの最高税率は50%のため、表(2)にあるように、プレミアリーグの人件費総額20億9000万ユーロ(約2842億円)から税額を単純計算してみると、それだけで推定約10億ユーロ(約1370億円)をはるかに超える巨額に達しているものと思われる。
ブンデスリーガについても、最高税率適用の最低条件が25万ユーロ(約3425万円)と、決して高くはない。
ドイツ紙『ビルド』によると、14/15シーズンにバイエルンが用意した選手や監督の予算は、1億8000万ユーロ(約250億円)。そのなかには、最高税率の最低条件を下回る選手が2人いたものの、ほぼ全額が最高税率対象であり、それだけで年間約1億4720万ユーロ(約202億円)の税負担が生じることになる。
リーガエスパニョーラやセリエAでは、最高税率適用が、それぞれ60万ユーロ(約8220万円)と70万ユーロ(約9590万円)超となっているため、正確な数字がつかみきれない部分はある。
しかしながら、これらはすべて最高税率を前提としたもので、その条件に合致しない選手にも当然、所得税が課されるわけだから、そうしたことからもクラブ側の税負担は、非常に重いものになることだけは確かだ。
そこで、これ以上の税負担を避けたいチーム側と、より多くの給与を得たい選手側の双方が喜ぶ形として一般的に取られた方法が、年俸を低く抑える代わりに(それでも高額だが)、その分、試合に出場したら『試合給』を、そして勝利に貢献した場合には『勝利給』を支払うというもの。
また、この金額は、非公開となっているため、詳細については分からないが、聞くところによると、欧州のトップチームでは、それだけでもかなりの額に上るという。
フランスの富裕層のなかにはドパルデューのように、ロシアに安住の地を求めた人も多い。その理由として、2000年5月に第2代ロシア大統領に就任したウラジミール・プーチン大統領が01年から断行した、所得税は所得額に関係なく『一律13%』が、もっとも大きいとされている。