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フットボールマネーを追え!【11】選手補強にも影響を及ぼす「所得税」。銀河系軍団推進の一助となった“ベッカム法”

シリーズ:フットボールマネーを追え! text by 小松孝 photo by Getty Images

ほぼ選手全員が最高税率適用者のプレミアリーグ

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表(2)欧州5大国、リーグ別人件費総額

 EU域内の平均最高税率が約38%であり、ドイツやイングランドも決して低くはない。そのため、拠点をある程度自由に決められる、例えば、F1王者のミハエル・シューマッハ(ドイツ)やセバスチャン・ベッテル(ドイツ)、あるいはルイス・ハミルトン(イングランド)らは現在、スイスに本宅を構えている。(編注:スイスではモータースポーツが禁止されているため、レーシングドライバー=無職という扱いになり、莫大な収入ながらわずかな税金しかかならない)

 1995年のボスマン判決以降、選手の国際間による自由移籍が活発化したなかで、国によって格差が生じている所得税の最高税率は、選手の獲得と移籍にも、少なからず影響を及ぼしているとも言えよう。

 フランス『AFP通信』によると14年4月、欧州5大国のなかでも、ずば抜けて人件費が高いシティの選手1人当たりの人件費は、533万7000ポンド(約9億1600万円)で、米野球界のニューヨーク・ヤンキースの528万6000ポンド(約9億700万円)やロサンジェルス・ドジャースの511万9000ポンド(約8億7900万円)を抑え、第1位だったと発表している。

 また、そのなかでも、もっとも給与が低かったヨン・グイデッティでさえ、週給1万ポンド(約170万円)だったように、シティは、選手全員が最高税率適用者である。

 一方、12/13シーズンのプレミアリーグで、もっとも人件費総額が低かったウィガンでも4400万ポンド(約76億円)。そこからフロントや医療スタッフなどの人件費を差し引いたとしても、ほぼ選手全員が最高税率の適用対象になっていたと考えられる。

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