破壊=創造。チームすら破壊したメッシ
それでも中心に据えられたメッシは、気付けばチームすら破壊してしまった。かつてペップ・グアルディオラが造り上げた機能美は見る影も無い。メッシを先に、システムは後に。しかし1人の小柄なアルゼンチン人が、ひとたびピッチの中央で駆け出せば、誰も止めることが出来ない。勝利をもたらす。
そしてスーパー・スターは世に名を轟かせて、クラブには名声と富が持ち込まれる。かつて大航海時代に、アムステルダムの街に世界中の財が持ち込まれたように。止めようは無い。
リオネル・メッシの破壊と創造――それは単純に善と悪とで割り切れるものでもない。創造と破壊は一枚のコインの表と裏なのだ。
それではメッシは本当に神が造った怪物なのだろうか。否、やはり人間である。歳の重ねに抗うことは出来ない。必ずスパイクを脱ぐ時はやって来る。
2014年11月5日にメッシ達は、チャンピオンズリーグのグループF第4戦でアヤックスを下した。メッシはこの試合の2ゴールで、元スペイン代表ラウールの持つ同大会通算最多得点記録「71」に並んだ。
しかしメッシが破壊=創造した凋落のバルセロナは、この先も勝ち続けることは出来るだろうか。例えば、バルセロナを後にしたペップが、新たなシステムを造り上げるバイエルン・ミュンヘンに。それとも、怪物の創造性が奇跡を起こすのだろうか。
そして、やがて訪れるメッシの選手寿命が終わる時、FCバルセロナは。
かつて世界の中心だった大航海時代のアムステルダムの街は今、人々の記憶の中にある。
【了】
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