伝統の4-3-3。時代を経ても変わらないアヤックススタイル
アムステルダム中央駅から、地下鉄M54番線。幾つか駅を通り過ぎれば、アヤックスの本拠地、アムステルダム・アレナはすぐそこだ。
2014年11月5日、欧州チャンピオンズリーグ、グループF第4戦。アヤックスはホームにFCバルセロナを迎えた。地下鉄の車両が駅に停車する毎に、アヤックス、そしてバルセロナのファンが雪崩れ込む。
中央駅を出発した頃には静かだった車内も、気付けばチャンピオンズリーグの高揚に満ちていた。バルセロニスタの歌がかまびすしく、アヤックスのファンも声を高く抵抗する。
アヤックスは伝統の4-3-3でバルセロナを迎え撃った。CFのシグトルソンを中心に、右のウイングはエル・カジ、左のウイングはシェネ。ピッチの幅一杯に広がったオランダの両翼は、かえって斬新な姿を見せた。時代が移れど変わらないスタイルは、ヴィンテージのジーンズのようである。
伝統の翼で果敢に抵抗したアヤックスだったが、バルセロナに、1人の小柄な怪物の前に屈することとなった。リオネル・メッシ。
32分の時点では、51%に対して49%と、ボール支配率でアヤックスはバルセロナを上回っていた。時に自陣に全員が引き、またボールがサイドに寄った時には複数で取り囲みに行く。ラキティッチ、アウベスから自由を奪うことには成功した。そして4-3-3でシステマチックに反攻する。
しかし36分だった。アウベスのパスに、裏へと抜け出したバルトラが折り返す。メッシがヘッドで先制する。1-0。そのままアヤックスはメッシに屈することになる。