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セリエA 10年前

衰退のインテルとミラン。ブーイングを浴びるマッツァーリ、会長介入に惑わされるインザーギ。共通するのは深刻な経済難

text by チェーザレ・ポレンギ photo by Getty Images

現状から抜け出すには数年単位の時間が必要

 インテルのオーナーであるトヒルは、ベルルスコーニとは異なり、クラブの経営面の管理に関しては非常に実利主義的な男だ。彼にとってはマッツァーリとの(モラッティ時代から引き継がれた)契約に年俸350万ユーロ(約4億9700万円)の値が付いていることこそが問題であり、税金も含めればこの負担額は2倍となる。

 契約は2016年夏に満了するため、今マッツァーリを手放したとしても、クラブは監督に今シーズンと来シーズン分の給料を支払わなければならないことになる。総額1400万ユーロ(約19億8800万円)の無駄遣いということだ。

 そして、後任に迎えるとすれば誰だろうか? ロベルト・マンチーニはさらに高額な年俸が必要となる。もう一人の候補は元インテルGKのワルテル・ゼンガだが、彼の監督としての経験は限定的なものであり、一か八かの勝負となってしまう。

 ミランとインテルの抱える問題に、短期的な解決法はない。今すぐに最も必要なのは、トヒルにとっては、イタリアサッカーは彼が想像していたものよりはるかに複雑だと理解すること。

 ベルルスコーニにとっては、政治家としてイタリア経済を崩壊させたのと同様に、今の選手たちに対してミランの監督のように振る舞うのであれば彼のクラブも崩壊させてしまう可能性があると理解することだ。

 いずれにしても、インテルとミランが現状から抜け出すためには、おそらく数年単位の時間が必要だろう。特に必要とされるのは、忍耐できる力だ。

 困ったことに、それはイタリア人、特にイタリアのサッカーファンが滅多に持ち得ない資質なのだが…。

【了】

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