両監督を取り巻く状況がそれぞれの混乱状況を反映
だが今ではベルルスコーニがいつも通りの身勝手さを発揮し始め、ミランには純粋なストライカーであるトーレスを起用して戦ってほしいという希望を明確にしている。
チェルシーで落胆ばかりの3年半(リーグ戦110試合でわずか20ゴール)を過ごしてミランにやって来たスペイン人ストライカーは、おそらくはインザーギのリクエストした選手でもなかったのだろう。
それまで新監督は変則的な4-3-3-0の“ゼロトップ”システムでバランスを見出していた。メネズが偽9番として機能し、本田らが走り込むスペースをうまく作り出すことに成功していた。
ベルルスコーニ介入後の結果はと言えば、カリアリでの試合では幸運に助けられての1-1のドロー。パレルモ戦ではホームで0-2の悲惨な敗戦を喫した。
だが愚かではないピッポは、ベルルスコーニの言うことを聞いて試合に敗れ、それから反対のことをやる方が自分の仕事を維持していくためにはるかに良い選択だと分かっている。それこそが悲しき事実だ。
マッツァーリの状況はさらに複雑なものだ。非常に要求の高いインテルサポーターは、元ナポリの指揮官がインテルにとって十分な手腕を持っていないと決め付け、ホームゲームのたびにいつも彼にブーイングを浴びせかけている。
試合前にはスピーカーから監督の名前がアナウンスされないようになったほどだ。
マッツァーリとインテリスタたちの間で感情が悪化し始めたのは、監督が昨年インテルのレジェンドであるハビエル・サネッティを重用しなくなった時からだった。後は今シーズンの低調な結果と基本的に退屈なプレースタイルがそれを加速させている。
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