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セリエA 10年前

衰退のインテルとミラン。ブーイングを浴びるマッツァーリ、会長介入に惑わされるインザーギ。共通するのは深刻な経済難

text by チェーザレ・ポレンギ photo by Getty Images

事実から目を背けるメディアやサポーター

 今は両チームともに袋小路に迷い込んでいる。より質の高い選手を加えられるようにするため収入を増加させることがどうしても必要だが、そのための一番の手段はチャンピオンズリーグ出場権を獲得(1シーズンで少なくとも2000万ユーロ〈約28億円〉の収入に繋がる)し、そこで良い結果を出して国際的なブランド価値を高めていくことだ。

 しかし、今のミランとインテルにはそのために必要な勝利を得られる力があるとは思えない。ユヴェントスとローマに明らかに水を開けられているだけではなく、今ではナポリやラツィオ、ウディネーゼといった上り調子のクラブと比較しても苦しく感じられる。

 こういったクラブは手頃な選手を見つけてその価値を高めることに以前から慣れていたし、当然ながらファイナンシャル・フェアプレー時代への対策も十分に間に合うよう開始していた。

 滑稽なのは、この単純な事実からイタリアのメディアやサポーターの大半が目を背けてしまっていることだ。

 スポーツ紙やテレビのサッカー番組は当然ながら、「金がなくなった」という話よりも、もっと盛り上がるような話題を探したがるものだ。今はミランやインテルが選手や監督の選択に関してミスを犯したとして責め立てている。まるで彼らが、クリスティアーノ・ロナウドやカペッロらを選ぶことも可能であったかのように。

 それぞれの監督たちを巡る状況も独特の問題を孕んだものであり、両クラブの置かれた混乱状態をよく反映している。

 シルヴィオ・ベルルスコーニ会長とアドリアーノ・ガッリアーニCEOがインザーギを選んだのは賢明な判断だった。選手としてもミランの英雄であった彼は、サポーターからの信頼も厚く、年俸も高くはない。「会社人間」的な従順さもある。

 まだファンからのプレッシャーもない状況で、シーズン最初の8試合を見ればスーペルピッポは奇跡を起こすことに成功していた(本田の復活もその一つ)。

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