ストロングポイントを全て消されたミラン
アバーテの前半のプレーエリアを見ると、ペナルティエリア右横の位置に入り込んだ割合が、わずか2.17%。ここまでの平均では10%を超える割合を記録しているだけに、極端に低い数字となっている。
本田のプレーエリアを見ると、アタッキングサード中央の位置へ侵入した割合が24.14%となっているため、平均に近い割合で外から中へ動いていることがわかる。
つまり、アバーテにとってオーバーラップするスペースはあったものの、低い位置に留められたという状態だった。
さらに、攻め上がりが制限されたことでクロス本数もわずか1本に抑えられた。通常、前半のみでも5本前後を記録するだけに、完全に武器を封じられた結果となった。
オプタのデータを基にした攻撃・守備・ポゼッションでのレーティング「パフォーマンス・スコア」を見ると、アバーテの前半は-16点。チーム内ではサパタの-37点に次いで低い評価となった。
また、パレルモは本田とアバーテの右サイドの他に、もう1つの武器と言えるナイジェル・デ・ヨングの存在も忘れてはいなかった。
アンカーポジションで中盤に安定感をもたらし、攻撃の起点となっているデ・ヨングに対して、パレルモは2シャドーの2人、バスケスとボルゾーニが厳しくマークすることで自由を奪った。
デ・ヨングのパスを出した位置を見ると、ほとんどが自陣ゴール前からのもので、横パスが大半を占めていた。通常であれば、デ・ヨングはセンターサークル付近でパスを出し、積極的な縦パスで攻撃のスタートを切る役割を担っていただけに、ミランにとってデ・ヨングが封じられたのは痛かった。
パフォーマンス・スコアでも-4点と、やはり低い評価に終わった。
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