現在=ロンドン。都心、郊外に多くのクラブが点在
実際、過去10年間に東京ダービーが非常に大きな盛り上がりを見せたことも何度かあった。例えば2008年、若き長友が試合終了直前に決めたラッキーゴールでチームに勝利をもたらした試合。こういう勝利こそがダービーの最高の勝ち方だと言う者もいるかもしれない。
残念なことに、それがヴェルディのJ1での最後の年でもあった。FC東京と長友も彼らの降格に一役買った形だ。2010年になると今度はFC東京が降格の危機に瀕し、浦和レッズとの試合で「祝!J2東京ダービー開催」と横断幕が掲げられたこともあった。
FC東京サポーターはこの侮辱に怒りを露わにしたが、レッズサポーターと彼らの横断幕の予言は悲しくも的中することになってしまった。FC東京はJ2に降格し、2度のダービーが実現した(結果は0-0と1-1でどちらも勝ち切れず)。現時点ではこの2つが、ヴェルディと戦った最後の試合だ。
最終的に「2チームモデル」は大阪で模範的に機能することになり、現在ではガンバとセレッソによる激しくもきわめて健全なライバル関係が存在しているが、この形は東京では長続きしなかった。
FC東京は1年でJ1に返り咲き、天皇杯優勝とAFCチャンピオンズリーグでの戦いも経験。一方のヴェルディはもう6年間も2部リーグで戦い続けている。経済力にも恵まれず、ファンのサポートも縮小していく中、J1昇格よりもJ3降格に近づいていく一方だ。
現在 – ロンドンモデル
今日の東京におけるサッカーの風景は、グレーター・ロンドンに似通っていると言うべきかもしれない。関東圏にはいくつかのクラブが点在している。この視点においては、郊外や隣接県も含めた地域の全てのチームを包含して考慮することができる。
想像力を強く働かせてみれば、浦和レッズと大宮アルディージャの存在は、ノースロンドンダービーを戦うアーセナルとスパーズに置き換えることもできる。FC東京はさしずめチェルシーであり、柏レイソルはウェストハム・ユナイテッドかもしれない。
後発組の町田ゼルビアやSC相模原(ともにJ3)は下部リーグのレイトン・オリエントやルートン・タウンのようなものだ(ヴェルディはもちろん、チャールトン・アスレチック)。