過去=ミラノ。東京VとFC東京が火花を散らした時代も
東京はニューヨーク、ロンドンと並んで、世界を代表する経済・政治・文化の三大中心地の一つだ。
だが、世界で最も人気の高いスポーツであり、近年では政治的・経済的ツールとしても大きな存在となったフットボールに関して言えば、「アジアの首都」東京はどのように位置付けられるのだろうか? 1部リーグで戦うチームがFC東京のみという現状の中で、サッカーの街としてはどのような捉え方が可能だろうか。
まずは、東京におけるプロサッカーの歴史を振り返ってみよう。
過去-ミラノモデル
東京という町における自然な形でのサッカークラブの成長の形として、2つの主要プロクラブである東京ヴェルディとFC東京が発展を遂げてきた。
2チームというのは世界のサッカー都市にもよく見られる形だ。ミラノにおけるミランとインテル。グラスゴーにおけるセルティックとレンジャーズ。バルセロナにおけるFCバルセロナとエスパニョール、といったように…。
これは概ね優れたモデルだと考えることができる。大半のサッカーファンは2チームのどちらか一方を選ぶのが普通なため、サポーターがさほど分散することもなく、彼らの存在は毎年のシーズンのハイライトであるダービーマッチを大いに盛り上げる助けとなる。
加えて、同じ街の中のライバル関係における主導権争いは、いつも容易に手に入るとは限らないビッグタイトルの代用物ともなり得るものだ。ある意味ではクラブがタイトルを勝ち取れなくともさほど問題ではなく、地域の覇権を握ることをシーズンの最低限の目標とすることができる。
イタリアのローマとラツィオを例に取ってみれば、どちらもトロフィーを獲得することは滅多にないものの、ダービーに勝利を収めてライバルチームより上の順位でシーズンを終えることがサポーターにとって毎年の生き甲斐となっている。