インドネシアリーグで、両チーム合わせて5つのオウンゴールが記録されるというまるでコントのような展開が繰り広げられた。
その舞台となったのは2部に相当するプレミア・ディビジョンのプレーオフ・グループステージ最終節での一戦。PSSスレマンとPSISスマランが対戦し、勝てば準決勝に進出するという大一番だった。
まず、PSSが2度のオウンゴールを犯してPSISが2点のリードを奪うと、その後PSISが3回連続でオウンゴールを記録。結局、PSSが3-2で試合を制した。
動画サイトにアップロードされた実際の映像を見ると、DFがGKへ緩いバックパスを出したにも関わらず、GKは無気力に歩いているだけ。ボールは転々とネットへ吸い込まれていくといった体育の授業でもありえない様子が映し出されていた。
この試合で2度のオウンゴールを犯したPSSの選手は「私もチームも混乱していたんだ!試合中は思考回路が停止していたかのようだった…。PSISが2連続でオウンゴールをした後、ファンに挑発されてさらに悪化したんだよ…」と苦し紛れの自己弁護を展開。
八百長も疑われるような“無気力試合”だったが、その真相は別だったようだ。
地元メディア「ジャカルタ・グローブ」によると、プレーオフ準決勝の相手、プサマニア・ボルネオが暴力団とのつながりを持つクラブであるため、両チームの選手は暴力団からの脅迫めいた要求を恐れて自ら敗戦を望んだ可能性があるという。
それでも、PSSの監督は試合後に「オウンゴールは決して意図的ではない」と疑惑を否定。さらに「準決勝でどのチームと対戦したとしても我々は恐れない!」と恐怖に打ち勝って、試合でも勝ち上がることに意欲を見せていた。
しかし、リーグの懲戒委員会会長が黙ってはいなかった。「彼らは、サッカーの基本原理を破った。我々は、スポーツマンシップとスポーツの健全性を保たなければならない」と語り、結局は両チームともに失格の処分となった。
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