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モウリーニョはなぜ結果を出し続けるのか? 最強指揮官を支える最高の裏方の存在

text by 山中忍 photo by Getty Images

フィットネス指導の域を越える“スペシャル・ツー”

 チェルシーでの前回モウリーニョ体制当時、クラブの歴史を知る元選手として助監督を任されたスティーブ・クラークは、「短時間だが高密度の練習メニューを熱烈に指導するポルトガル人スタッフの姿勢に目を見張った」と言っていた。

 勝利にこだわる指揮官が次の試合に勝つために組んだメニューを、「勝つためには次のセッション、次のエクササイズをこなすことが不可欠だ」と、選手たちに説きながら指導していたスタッフの代表格が、当時はまだ29歳のファリアだった。

 過去には、「モウリーニョ流」での勝利に懸けるファリアの情熱が、試合会場でオーバーヒートしてしまったこともある。昨季終盤のサンダーランド戦、モウリーニョに抑えられていなければ、審判に飛びかからんばかりの勢いで判定に激怒した姿は記憶に新しい。

 04年からのモウリーニョ体制プレミアリーグ戦ホームゲーム無敗が途絶え、昨季の優勝争いで手痛い敗北を味わった一戦での暴走だった。

 今季も、アーセン・ヴェンゲル監督がモウリーニョに手を出した先のアーセナル戦で、敵軍助監督のスティーブ・ボールドと口頭で激しくやり合っている。誉められた行動ではないが、共に闘い、仲間のためには危険を顧みない12歳年下の「アシスタント」に、モウリーニョはかつての自分と同じ匂いを嗅ぎ取っているのだろう。

 実際、ファリアは指揮官と最も密なチームスタッフだ。対戦相手の偵察や、レンタル移籍中の若手の観察に赴く際には、往々にしてスタンドの隣席にファリアの姿がある。運転手を兼ねて帯同することさえある。

 チェルシー帰還後のモウリーニョは、本職であるフィットネス指導の域を越えて貢献し続けるファリアを、「スタッフの中でもやはり特別な存在だ」と認めている。そして、「我がメソッドの完璧な理解者であり、彼の協力があるからこそ私なりの練習メニューがある」と評価している。

 ビッグゲームでの様々な局面でさえも、練習で“リハーサル済み”であることが多い“スペシャル・ワン”。頼れる補佐役であり続けるファリアは、差し詰め“スペシャル・ツー”といったところだ。

【了】

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