ポゼッション72%と依然として高い数値だが…
また大きなサイドチェンジも目立った。61分、右サイドのボアテングから左サイドのリベリーに大きなサイドチェンジが送られると、そのスピードを活かしてHSVの左を突いた。55分のリベリーによる3点目も、元を辿ればサイドチェンジからの速攻である。
そしてカウンター。41分、ラームが中央で中継点となって、右にいたリベリーに送り、バイエルンは一瞬のカウンターを繰り出した。
試合後の記者会見でペップがHSV戦について「速さ」と「深さ」の2点をポイントとしてあげたように、バイエルンはスピードとダイナミズムで相手の背後を陥れようとした。
そこに「遅攻」は見る影も無い。かといってポゼッションを放棄したかというと、そういう訳でもない。試合後のキッカー電子版のデータによれば、ボール支配率はHSVの「28%」に対して、バイエルンは「72%」となっている。依然として高い数値だ。
そして「787本」のパス本数に対して成功率は「86%」とこちらも高い数値を誇った。サッカーの質は変わりつつあるが、データ上は昨季とさほど変わっていない。
10月30日付のシュポルトビルト紙では、ラームがCLグループE第3戦のローマ戦を振り返る上で次のようなコメントを残している。
「僕達は確実に昨季よりも幅が広がっている。僕達は1年以上もペップ・グアルディオラとトレーニングを積んできた。僕達は可変的で、様々なシステムをプレーすることが出来る。選手は誰もがそのことを自然と実践することが出来る」
要するにペップ・バイエルンはポゼッション・サッカーのさらなる地平を拓こうとしているのである。それは強く、速く、正確で、美しい。
そしてそれはゴールへ至るための手段である。「崩せない引いた相手」という外的要因が強いた変化であり、目的はあくまでゴールを奪うことなのである。結果、バイエルンは圧倒的な内容でHSVを3-1と粉砕した。
次戦は11月1日ブンデスリーガ第10節、こちらも香川、ロイスのツー・シャドーで進化への兆しが見えたドルトムントをホームに迎える。
ドルトムントもペップ・バイエルンの進化の餌食となるのだろうか。
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