必要とされるのは経営陣による前向きな熱意
アンドレア・アニェッリが2006年の事件を思い出させたのも、おそらくは同じ動機によるものだろう。マドリーとピレウスで連敗を喫し、チームに欧州で戦っていく力があるのかどうかとユベントスサポーターが疑いを抱いている今だからこそだ。
アニェッリがカルチョーポリの処理に不満を抱いていることは理解できるが、イタリアサッカー界における現在のユベントスの優位性(3年連続スクデット、唯一のクラブ保有による近代的スタジアム、収支改善)を考慮に入れれば、イタリアのビッグクラブを運営する企業家たちの協力体制の再構築を図るのに最も適した人物は他ならぬアニェッリだと感じられる。欧州他国では通常は実現できていることだ。
アメリカでスポーツビジネスにも携わってきたトヒルは、サッカーの未来において重要な市場となるアジアでのマーケティングに関して、間違いなくイタリアサッカー界の誰よりも豊富な経験を有している。
彼とイタリアの他クラブ、特にユベントスやミランやローマとの戦略的連携は、イタリアサッカー界に利益をもたらすものに他ならないはずだ。
歴史的・政治的な視点では、モラッティの退場はポジティブに捉えることもできる。過去との決別を意味するものだからだ。
イタリアサッカー界の古い経営陣はミランのアドリアーノ・ガッリアーニCEOを残すのみとなるが、彼は彼でバルバラ・ベルルスコーニの新しい考え方と妥協を探っていかなければならない。
だが、必要とされるのは全ての主要クラブの経営陣による前向きな熱意だ。少なくともユベントスとFIGCの裁判結果を待つ間は、アニェッリとトヒルの対立解消が絶対に欠かせない。
おそらく世界で最も郷土主義の強いイタリアのサポーターたちには面白いことではないとしても、ビッグクラブの代表者たちが意思統一を取り戻すことこそがカルチョ復権の唯一の道だ。
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