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セリエA 10年前

インテル名誉会長モラッティの退任に見る“終わらないカルチョーポリ”。復権への唯一の道は代表者たちの「意思統一」

text by チェーザレ・ポレンギ photo by Getty Images

イタリアサッカー界に暗い影を落とした“カルチョーポリ”

 もう8年前の事件となるカルチョーポリに改めて思いを巡らせるのは今さらという感もあるかもしれないが、アニェッリに言わせればあの一連の出来事こそが、イメージ的な面でも経済面でも欧州と世界におけるイタリアサッカーの力を事実上失墜させた原因の核として存在しているものだ。

 実際問題として、全てはあの2006年の運命の夏に起こった。2週間で行われた略式裁判(裁判長を務めたのは元インテル役員のグイード・ロッシ判事だった)を通して、イタリアサッカー界の暗部を明るみに出すとともに、いくつかのクラブ(ユベントスを筆頭に、ミラン、フィオレンティーナ、ラツィオなど)と審判指名委員たちとの関係性を糾弾することが結論付けられた。

 ユベントスの降格と他の複数クラブへの処分によって、インテルはイタリア国内を支配し、その後の数年にわたって欧州でも結果を出すための理想的な立場に置かれることになった。それにふさわしい戦いはしたと言っておく必要はあるが。

 だが、モラッティの手によるインテルの栄光は大きな代償と引き換えに得られたものだった。

 まず何より、カルチョーポリがその後にまで尾を引くことは避けられなかった。特に2006年の裁判以降の数年間に提示された証拠により、インテルも審判任命委員と直接の接触を持ち、彼らに影響を及ぼすため手を尽くしていたことは明白となった。

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