いまだ根強く残る険悪なムード。アニェッリの毒が表す
突然のようにインテル名誉会長の職を辞したマッシモ・モラッティが表舞台から退場したことは、イタリアサッカー界の政治と経済の状況について考えてみる機会となった。
まず第一に、モラッティとの別れはインテルにとって一つの時代の終焉を意味する。主義主張を抜きにしてこの事実だけに目を向けたとすれば、インテルの元会長が人間性の面で別れを強く惜しまれる存在であったことに間違いはない。
人間的でサポーター的な会長という存在の最後の一人であった彼は、長年にわたってポケットマネーからの投資(総額12億ユーロ以上)を継続し、ついには2010年5月にインテルをサッカー界の頂点へを導くことに成功した男だった。
モラッティが去ったことで、長期的な家族経営が続けられているイタリアのクラブは、アンドレア・アニェッリのユベントスただ一つとなる。だがモラッティ退任に対する彼の辛辣なコメントは、残念ながらイタリアサッカー界にいまだ根強く残る険悪なムードの度合いを表すものだった。
「モラッティに関しては、そのインテルへの大きな愛情が認められて然るべきだ。勝ち取っていないスクデット(2005-06シーズン)を受け入れるという狂気へ繋がるほどの大きな愛情だった。我々はサッカーと自身のチームを愛する一人の人物を失うことになる」
別れの言葉に添えて、アンドレア・アニェッリは毒を織り交ぜずにはいられなかった。モラッティが、カルチョーポリの残骸を拾い集めることからスタートして成功を築き上げたと非難したも同然だった。