若手の台頭が生粋のストライカーを更に成長させる
今シーズンは、ベンチから外れる試合もあった。コンディション不良など様々な臆測があったが、本当の所は本人にしかわからないだろう。
重要なのは、再び佐藤が広島のストライカーとして輝きを放っていることである。
この日の同点ゴールも抜け目がなく、他にも鋭い飛び出しから惜しいチャンスを作り出していた。
今シーズン9ゴール目を挙げ、11年連続二桁得点まであと『1』となった。本来ならもう少し早い段階で達成したかったはずだが、これだけコンスタントにゴールを奪える能力は、さすがというべきだ。
今なお広島を象徴するゴールゲッターだが、フル出場の回数は減っている。FC東京戦でも71分に皆川佑介との交代でピッチを退いた。
だがそれは、広島に新しいバリエーションが生まれているということでもある。
FC東京戦で森保一監督はまず、機能し始めていたサイド攻撃をより活性化させるために選手交代を行った。その後、センターフォワードを佐藤から皆川にチェンジしている。その理由を森保監督はこう語った。
「もちろん寿人もいい動き出しで合わせることができる。ただ相手が引いてしまったので、クロスが入った時に、皆川が合わせる、つぶれる、次にチャンスを作るという形で代えた」
皆川も日本代表に選出されるなど期待される存在だ。彼が更に成長することで、佐藤とはまた違う攻撃の形が生まれ、広島の武器となるはずだ。
そして、佐藤自身も黙ってポジションを明け渡すはずがない。ストライカーとしてゴールを奪うために何ができるか、更に追求していくはずだ。
今シーズンのリーグ優勝はなくなった。だが、広島にはコンスタントに得点を重ねる佐藤寿人がいる。紫色の背番号11はまだまだ衰え知らずだ。
【了】
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