「自分が活躍して、ここに何かを残すんだ」
そういう中で生き残り、成功するために必要なものは何なのか。岩政は「自ら活躍して何かを残すんだという強い意志」だと言う。
「タイでは何事も『いいや、いいや』という空気が根強いんで、自分自身が強い意志を持たないと周りに流されてしまう。欧州リーグみたいに情報が沢山あるわけではないので、自分自身があまり活躍していなくても誰も知らない。それが『まあ、いいか』というムードを助長することにもなる。
ラクに生きたければいくらでも生きられる環境なんです。だからこそ、仕事だからタイに来たというレベルじゃ活躍は難しい。『自分が活躍して、ここに何かを残すんだ』という高い意志を持ち続けないといけない。僕は常にそう考えてこの1年間を過ごしてきました」と岩政は語気を強めた。
彼のような模範的なサッカー選手が来たことで、タイ人選手たちは多くを学んだはずだ。
「タイのメッシ」の異名を取るチャナティプ・ソングラシンを筆頭に、BECテロ・サーサナにはスキルの高い若手が少なくない。9月のアジア大会(仁川)でベスト4入りしたU-23タイ代表に名を連ねている選手も5人いるという。
彼らが戦術理解力を高め、相手のスカウティングを地道に行いながら戦い方を柔軟に変え、常に集中を切らさず高い意識を持ってプレーできるようになれば、劇的な変貌を遂げる可能性もゼロではないのだ。
それだけタイには潜在的なポテンシャルがある。タイのみならず、今回のAFC・U-19選手権で初めて4強入りした隣国・ミャンマーなども同様だろう。日本人選手からいい影響を受けて、TPLが今後どう変化していくのか。岩政自身のこの先の身の振り方も含めて、注視していきたいものだ。
【了】
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