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Jリーグ 10年前

FC東京に3戦ぶり勝利をもたらした武藤、果敢な突破で攻撃を牽引。ブラジル戦で痛感した課題も向上

text by 青木務 photo by Getty Images

判断力が上がれば本来の持ち味も更に活きる

「判断の速さやドリブルの質、タッチの質は自分にはまだまだ足りないということが浮き彫りになった。今日は仕掛けるところ、パスを出すところという意識はしていた」

 世界トップレベルの実力を見せつけられたことで、更なる高みを目指すきっかけにもなった。課題として挙げた判断力について、この日の広島戦どうだったのか。

「前半に関しては周りを上手く使いこなすことができなかった。後半は自分のマークに来る相手選手を逆手にとってパスを選択するというのがうまくできた。ああいうプレーをしっかり続けていかないといけない」

 果敢に仕掛ける姿勢を90分間見せた武藤だが、味方を使うプレーもスムーズだった。

「後半、自分に相手が来た時にスルーパスを出す形もできた。まだまだ判断は遅いですけど、いい感触は掴めたので、プレーの選択を上手くしていきたい」

 味方を活かせれば、自らのプレーの幅も広がる。最大の特徴である鋭い突破も更に活きるだろう。

 この日は連戦で、雨によりピッチ状態も良くなかった。その中で最後までキレを失わずゴールを目指した。

 後半には、鋭い切り返しから対峙する広島のDF塩谷司を抜き去っている。塩谷もブラジル代表との戦いの中でレベルアップを誓った選手だ。Jリーグのアタッカーには一対一で負けたくなかったはずだ。そんな相手に対しても武藤は持ち味を発揮した。

「(塩谷は)日本を代表するディフェンダーでもありますし、その選手を抜いたことは自信になる」

 3試合ぶりに挙げた得点は、チームに勝利をもたらす一発だった。すでに試合の行方を左右する存在となっている武藤の成長はこれからも止まらない。

【了】

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