育成年代でも実戦感覚を確実に養える環境を
日本はまたしても世界を経験する貴重な機会を失ってしまったわけだが、育成の中でボールスキルを伸ばすベースを失うことなく、もっと勝負をイメージできる選手を育てていけるのかを根本的に見直す好機であることも確かだ。
負けたら悔しいのは当たり前。ウズベキスタンの選手も北朝鮮に大敗した後はピッチに倒れ込んでいた。彼らが試合で手を抜いていたのではなく、北朝鮮に対してのアプローチが甘く、90分の流れを掴み、チームとして厳しい時間帯をしのぎ、流れを引き寄せる共有を欠いていたのだ。
結局“自分たちのサッカー”というものも、勝って初めて正当性を得るというのはブラジルW杯でも示された通りだ。テクニックを伸ばすことは大事だが、それも結局は点を取り、取らせないためのベースであり、全てではない。ポゼッションもしかりだ。
勝利にこだわることイコール、ロングボールでも、カウンターでも、ラフプレーでもない。しかし、相手や試合展開で移り変わる状況の中で勝利するために何ができるのかを日頃からイメージしていくことが重要だ。
試合に勝つというサッカー競技の原点を見つめ直し、選手たちがそのメソッドを練習から意識していける環境を再整備する必要があるだろう。
また試合にフォーカスするならば、ちょうどU-19の選手たちは90分の試合を経験できる環境に恵まれていない。もちろん南野の様に現在の仕組みの中でレギュラーポジションを勝ち取る選手もいるが、そういう選手を11人揃えられることは今後も難しいだろう。
6・3・3・4という学校体育の仕組みをサッカー界だけで変革することは不可能だが、その枠組みの中でも実戦感覚を養える環境を作っていく必要があるだろう。
ただ、このU-19アジア選手権の準々決勝で敗退し、世界を逃した選手たちの時間が巻き戻ることはない。悔しい思いを経験した選手たちがそれぞれのクラブで大きく成長し、五輪代表、さらにA代表へと駆け上り、上のステージで世界の舞台を踏んでくれることを期待している。
【了】
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