深刻な“ケーヒル依存症”。総得点の64%を占める
ポスタコグルー体制での11試合の総得点数は11。1試合に1点という得点率はともかくとして、その得点者の分布に大きな偏りがある。総得点の64%の7点が替えの利かない絶対的エースであるティム・ケーヒル(NYレッドブルズ)の得点。
そして、残りの4点のうちの3点をキャプテンのミレ・イェディナク(クリスタルパレス)が決めている。この2人以外の得点は、9月のサウジアラビア戦での若手DFベイリー・ライト(プレストン・ノースエンド)のCKからの1点だけ。実に7割近くの得点がケーヒルによるという事実からは、極度の“ケーヒル依存症”を否が応でも浮き彫りになる。
ポスタコグルー監督は、就任後の約1年で延べ40人の選手を試してきた。そのこと自体は「世代交代を推し進め、新戦力を発掘しつつ強化する」という方針を考えれば、決して驚くことではない。
問題は、その11試合で試したFWの人数が絶対的なケーヒルを除いてわずか6人。4-2-3-1(またはアンカーを置いた4-3-3)のシステム上、絶対に必要な左右のウィングタイプの選手を除いた典型的なストライカータイプの若手選手にいたっては、今回はケガで招集が見送られたトミ・ユリッチ(WSW)しかいないという事実。
これは、ケーヒルの後継たり得る人材が見い出せず、当面、今年12月で35歳になるケーヒルに依存せざるを得ないという状況を如実に物語っている。
実際のところは、その“絶対“なはずのケーヒルが得点を決めた試合ですら、6戦2勝1分3敗(勝率.333)と勝ちきれないサッカルーズ。
しかし、11試合の中で勝利した2試合のいずれでもケーヒルは得点をしており、裏を返せば「ケーヒル抜きでは1試合も勝てない」という仮定も成り立つだけに、豪州サイドにしてみれば「ケーヒル不在」という事態は何としても避けたいところだ。
もしかすると“ケーヒル依存症”以上に、ポスタコグルー監督の頭を悩ませているのが、センターバック(CB)の選手起用かも知れない。