求められるアグレッシブな姿勢
マリノスの起点となったのは中村だが、彼を止めることは容易ではなかった。
「プレスをかけたいけど、かけられない。前から行くとかわされてしまう」と石毛が言うように、絶妙なポジショニングでパスを受け、味方を活かす中村に対して清水は対応しきれなかった。
清水にも問題はあった。攻撃に出ようと前がかりになったところでボールを失っていた。本田が振り返る。
「取られ方が中途半端で、攻めに行こうという時に取られていた。空いているところにマリノスの選手がいることで難しくなった」
失ったボールを取り返そうとするものの、マリノスはそれを掻い潜ってきた。
「ボールが入った選手にガツンと行ければ問題ないと思うんですけど、そこで起点を作られてしまった」
悪い奪われ方をしないことが重要だが、前線からしっかりコースを切ることも忘れてはいけない。アンカーの周囲を使わせない上でも、コースを限定するプレスが必要だった。
高い位置で奪って素早くゴールに迫る形を作りたいのなら、前線から連動して、奪いどころを明確にしなければならない。
清水は天皇杯を戦っており、体が重かったこともあるかもしれない。だが、機動力を活かして戦うのなら、攻守においてアグレッシブにプレーする必要がある。
リーグは残り6試合。降格圏内にいる以上、なりふり構ってはいられない。
【了】