ラームとクローゼの引退が招いた安定性の欠如
2つ目は「サイドバック(Aussenbahn)」だ。ビルト紙はポーランド戦において右SBでプレーしたルディガーがドイツ代表として3試合目の出場で、ドゥルムが4試合目であることに言及して、「両者はディフェンスに安定感を全くもたらすことが出来なかった。前方にプレスを掛けることが全く出来なかった」と記した。
この点についてビアホフ氏は「我々は育成において他のタイプを優先的に扱った」と述べている。例えば、ゲッツェのように。同氏は「我々は1つ、または他のポジションを埋め合わせることを忘れていた」として、ここでサイドバック、そしてセンターフォワードの人材難に触れている。
そして3つ目が「利益(Ausbeute)」である。ポーランド戦を振り返ってレーブは「我々は28本のシュートを放った」、「最後を決め切らないといけない。フィニッシュの結果は我々のメイン・テーマだ」と述べた。
これらのことをもって、ビルト紙は「3つのA問題―そしてプランBが全くない!ほとんど代替策がない…」としている。
W杯を終えてのポーランド戦を含めた3戦と、ビルト紙の分析を元に見てみると、ドイツ代表が過渡期にあることは間違いない。チームは安定性を欠いているということだが、つまるところラームとクローゼの引退が最も大きな要因となっている。
仮にその2人がいるだけで、ビルト紙が指摘する「3つのA問題」はほとんど解決してしまう。ラームは「リーダー」「サイドバック」の問題を、クローゼもある意味で「リーダー」、そして「利益」の問題を解決することが出来る。
またクローゼそのものが「プランB」とも言えた。窮地を救ったブラジルW杯グループリーグ、ガーナ戦は記憶に新しい。そして2人はビアホフ氏の言う「育成」にも影響を与えた。ラームとクローゼがいたから、ゲッツェのような、ミッドフィールドの人材の育成に力を注げたとも言えるだろう。