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ボールボーイにも指示、ヴェンゲルすら手玉に。モウリーニョに見る“ビッグゲームの勝ち方”

モウリーニョ対ヴェンゲル、名将対決としても話題になった10月5日のビッグロンドンダービー。試合はチェルシーが制したが、そこには勝負に徹するモウリーニョの姿があった。ヴェンゲルすら手玉にとったその手腕とは?

text by 山中忍 photo by Getty Images

チェルシーがアーセナルを上回ったもの

ボールボーイにも指示、ヴェンゲルすら手玉に。モウリーニョに見る“ビッグゲームの勝ち方”
スタンフォード・ブリッジで見られた光景は…【写真:Getty Images】

 対戦相手のテクニカルエリアへと足を進め、立ちはだかる相手監督を押し退けようとしたアーセン・ヴェンゲル。相手の背後を指差しながら、自分のエリアに戻れと伝えたジョゼ・モウリーニョ。10月5日のスタンフォード・ブリッジで見られた光景は、紳士的なアーセナル指揮官と好戦的なチェルシー指揮官が入れ替わったかのようだった。

 モウリーニョの胸に手をかけたヴェンゲルによる一押しは極めて軽いもの。しかし、我を見失ったことは間違いない。それほどヴェンゲルは苛立っていた。表面的には接戦でも実質的には相手ペースの戦況に焦燥感を募らせていた。モウリーニョのチェルシーとヴェンゲルのアーセナルの力関係を象徴する一場面だった。

 ヴェンゲルほど、モウリーニョを倒したいと願うプレミアリーグ監督はいないだろう。アーセナルをプレミア無敗優勝に導いた過去を誇る名将も、対モウリーニョは「無勝」。通算12度目の今回も7度目の敗戦(0-2)に終わった。

 ヴェンゲルは一矢を報いようと必死だった。アーセナルの陣形は基本の4-2-3-1ではなく4-3-3。3センター選択は、中盤バトルで惨敗した昨季3月の前回対決(0-6)の反省に違いない。両SBの攻撃参加が控えめだった点も同様だ。「如何にして自分たちのサッカーをするか」を主眼に置くはずのヴェンゲルが、チェルシーという相手を意識して試合に臨んでいた。

 アーセナルの選手たちは、立ち上がりから激しいプレッシングで闘う姿勢を示した。だが、いつものようにモウリーニョがピッチに送り出した面々の戦闘意欲と決意はアーセナルの上をいく。

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